防湿フィラメントケース
3Dプリンタの防湿フィラメントケースを作ります。
Elegooの3Dプリンタ Centauri Carbon でElegooの1kgフィラメントを使う想定。
設計
- スプールの穴にスペーサーを入れて、その中心に金属のパイプを通して回転軸とする。軸受けは乗せるだけ。
- 加工の手間を省きつつ正確に水平を出せるように、軸受けはケースに固定するのではなく中に入れる土台と一体成型する。ケースは中央部分が膨らんでいて最も幅方向の余裕があるので、軸受けの支柱はまっすぐ下に下ろす。土台もケースには固定せずに置くだけ。本体底の溝にはまってスプールの自重で固定されるはず。
- ケースからフィラメントを出す穴は側面の下の方に開ける。 (最初はどうにかして上から出すことを考えてみたけど、それだとCentauri Carbonの本体側を改造しないと無理そうなのと運用上このほうが便利そうなので。)
- フィラメントの出口とは別に穴をあけてクイックリリース継手をつけ、そこにチューブの先を差し込めるようにしておく。さらにその穴の内側にも途中で塞いだチューブを接続しておく。これは使用中も保管中も手間をかけずに気密が保たれるようにするため。
材料
プリントして作る部品以外の材料。(全部必要というわけでもない)
- ケース: 定番のイノマタ乾物ストッカー。これ専用に作るので、これだけは必須。
- チューブ: 外径4ミリ内径2.5ミリのPTFEチューブ。たぶん内径2ミリでもいい。余裕を見ても50cmあれば十分。
- パイプ: スプールの回転軸として使う、だいたい外径13ミリぐらいの金属製のパイプ。材質はアルミがおすすめ。必要な長さは約8cm。
- 継手: ケースから引き出すチューブを固定するための金具。(これはチューブをつけるときも外すときもかなりの力が必要なタイプ。) もしかしたらこういうのを使わなくても穴にチューブを通してホットボンドなどで固定するのでも大丈夫なのかも。
- クイックリリース継手: 使わないときにチューブの先端を刺しておくためのもの。ただ、これ内径が小さくてフィラメントが引っかかるので他のを使ったほうがいいかも。
- コネクタナット: 上の部品2個を連結するもの。これも品質が良くない上に値段も高い。普通の部品なのでもっと安くて良いものがホームセンターにあるし、上の部品しだいではそもそも不要かも。
- 湿度計: めちゃくちゃ安くて精度もそれなりなので、湿度の目安程度に。おそらくこのタイプのやつは全部同じサイズな予感。(未確認)
- 紐: 荷造り用のうっすいビニール紐が最適。スプールをケースに入れるときに道具として使う。50cmもあれば十分。
作り方
…は細かく説明するまでもないと思うので要点だけ。
プリントするもの
- スプール台:
長手方向で22cmぐらい。土台部分はケースの底の外周部分の溝の形状に合わせた結果けっこうなオーバーハングなので、ブリムをつけてプリントし、後でブリムを落とすついでに角があれば丸めておくべき。
(なお湿度計ホルダ部分が不要な場合はこちら。)
- スペーサー:
これはスプールの両側から付けるので2個プリントします。Elegooのスプールのサイズ基準ですがピッタリとはまるわけではなく遊びがあります。
- チューブ接続パーツ:
Centauri Carbonの本体にチューブの先端を固定するためだけのパーツ。これをフィラメントセンサ部分に被せて両面テープなどで固定します。チューブが通る穴がきつい場合は削ってください。
加工するもの
- パイプ:
カットして断面を滑らかにしておきます。ケースの歪み具合にもよりますが長さ79ミリ程度がよさそう。
- ケース: 穴を2箇所開けます。大きくなりすぎないように現物合わせで。
- チューブ:
無理なく接続できるような長さに切ります。
フィラメント先端を入れる部分の短いチューブは片側をホットボンドなどでふさいでおきます。
(長さはだいたいの目安。チューブは最初は長めにして合わせながら調整していくのが安全。)
使い方(フィラメントの入れ方)
使い方は見ての通りですが、スペーサーが固定されてないので、フィラメントをケースに入れるときにちょっとコツがあります。
- スプール台だけをケースの中に入れておく。
- フィラメントの先端をケースの内側からチューブに通しておく。
- スプールにスペーサーを付けて穴に紐とパイプを通す。(紐をパイプの中には通さない)
- 紐でスプールを持ち上げケースに入れる。
- パイプを台の軸受けに乗せたら紐を抜き取る。
- 上の穴の内側に、片側が塞がったチューブを接続する。
- フィラメントの先端を引っ張り出して本体に装填し、チューブを接続パーツの穴に差し込む。
なお、外すときはスプールを回して余分なフィラメントを巻き取り、チューブの先を上の穴に差し込んでおきます。
このときフィラメントがちょっと出た状態にしておくと次に使うとき楽。